「女性が輝く日本」を政策のひとつに据えるアベノミクス。
そのアベノミクスの中でも、最近よく話題にされるのが、法人税の減税についてです。
経済再生と財政再建の両立という難しい舵取りの中で進められている法人税の実効税率引き下げですが、ずっと難色を示していた自民党税制調査会も法人税の実効税率引き下げを明記した法人税改革案を取りまとめることになったようです。
もちろん単純に減税するだけでは、2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するとの政府の財政健全化目標が達成できなくなりますので、赤字企業も課税対象となる外形標準課税の強化などの代替財源を確保することが前提になりそうです。
楽観的には、2014年は景気回復による自然税収増が2兆円にのぼるとか、法人税減税により、租税回避行動(本社を税率の低い国へ移す)の阻止や経済の活性化による税収増となり、結果、引き下げによる減収をカバーする「法人税パラドックス」という現象がおこるとの意見もあります。
日本はこれから消費税率が10%にあがることも予定されているので、それほど楽観しても良いのかなとも思いますが、日本の法人の7割が赤字で法人税を納付していないことを考えると、「公共サービスの対価」として赤字企業に対する課税ベースを拡大することは、理にかなっている気がします。
日本よりも法人税率が高いのは米国で、M&A(合併・買収)などを通じて本社を低税率の国へ移そうとする動きが目立ってきているようです。2012年以降に「インバージョン」という手法を用いて税率の低い国に対する租税回避行動をとった会社は14社に上るといいます。赤字企業ばかり国内に留まって、儲かっている黒字企業が海外移転ばかりしては、大変なことになってしまいますね。
日本で法人税を引き下げて消費税を上げるのは、企業優遇のし過ぎだとの声もありますが、日本の国内産業が空洞化してしまうと雇用も減り、国内での設備投資なども減ってしまい、結果、お金の動きが停滞し、ひいては日本経済が停滞することに繋がってくると思いますので、企業を活性化し、景気全体の底上げをするための必要な施策のひとつと言えるでしょう。
ただ、最近、スターバックスやAppleなどの巨大なグローバル企業が行き過ぎた租税回避行為を取ったとして批判を浴びましたが、適正な税金を納めることも企業の社会的責務であることを経営者は忘れてはならないでしょう。
少し難しい話になってしまいましたが、今後の動向を注視していきたいと思います。