記事情報

サブページ画像

information

2014-06-14
「小1の壁」は越えられるのか?

アベノミクスの第3の矢である成長戦略の骨格が固まってきました。

注目が集まりやすい施策としては、法人実効税率の引き下げですが、他にも人口の減少や少子高齢化への対策など、50年後に1億人程度を維持するという人口についての目標を定めるとともに、施策を総動員し女性の活躍推進を明言しています。それによると、M字カーブの中心となっている女性層(25歳〜44歳)の就業率を2020年に73%(2012年68%)に引き上げることを目標に、待機児童解消加速化プランなどを掲げています。待機児童解消加速化プランでは、保育所の整備促進、保育士の確保だけではなく、認可外保育施設はの支援や小規模保育事業など新しい受け皿の確保を行うとしています。

待機児童といえば、保育所の不足と思われがちですが、実は、子供が小学生になった時に保育所に代わって預けられる先がなくなるという「小1の壁」と言われる現象が深刻化しています。その受け皿となるのが「学童保育施設」ですが、厚生労働省によると学童保育の待機児童は全国で約9000人、潜在的な待機児童となると数十万人との試算もあるようです。保育所に比較して遅れがちとも指摘される学童保育施設の整備ですが、今回の成長戦略には、学童保育の受け入れ枠を2019年度までに30万人分増やすとしました。実現すれば、共働き世帯、ひとり親世帯にとっても、就労の後押しとなる有効な施策として期待されます。

しかしながら一方で、厚生労働省から今年の4月30日に学童保育施設についての設備約運営基準に関する省令(第63号)により最低基準が公布され、その内容が厳しいとのことで、運営母体の自治体などからは困惑の声があがっているようです。学童保育施設は全国で2万1500ヶ所を超えて年々増えてはいますが、その半数以上は省令の基準を満たしていないとも言われており、政府が掲げる量の確保の前に省令により1クラスの定員などが厳しくなると、利用できない待機児童が増えるのではないかと考えられます。施設の質の充実も必要な事ではありますが、やはり物事には順序があり、優先されるべき問題、課題は何なのかを考えて施策を打たなければ、どうもチグハグな印象が否めません。子供の安全を確保するために基準を設けることは必要な事ではありますが、逆にまったく目の届かないところに問題が逃げ込んでしまうことが無いようにも考慮する必要があるのでしょう。全国すべてが同一基準というわけでなく、いろいろなタイプの学童保育施設がある方が使い勝手が良いと思いますね。