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2014-10-26
子どもの貧困-母子世帯が影響

今年7月に厚生労働省が発表した「平成25年国民生活基礎調査」によると、1985年に10.9%だった「子どもの貧困率」が、2012年に16.3%と過去最悪の状況となっていることがわかりました。これは、子どもの約6人に1人が貧困状態にあることを示しています。厚生労働省は、「当時はデフレ下の経済状況で、子育て世帯の所得が減ったことが原因」としながらも、「母子世帯が増えており、働く母親の多くが非正規雇用であることも影響したのでは」と指摘しています。
たしかに2011年に実施された「全国母子世帯等調査」によると、母子世帯数は2011年の調査では123.8万世帯とされていますが、5年前の115.1万世帯に比較し約7.6%も増加しています。また、ひとり親世帯のうち、父子家庭の平均年間収入は455万円ですが、母子家庭は291万円にとどまっています。これは、母子家庭の80.6%が就業していても、そのうちパート・アルバイト・派遣社員などの非正規雇用の割合が52.1%(父子家庭は10%)と高いことが影響しています。
母子家庭を取り巻く経済状況は非常に厳しいと考えられます。
(2013年6月に子どもの貧困対策の推進に関する法律」が成立、翌1月に施行され、同3月に「ひとり親家庭の支援について」指針が出されています。)
さらに、大人が2人以上の世帯の子どもの貧困率は10%前後なのに対し、ひとり親世帯の貧困率は50%を超えています。
最近では中学3年生の通塾率は約6割と言われ、他通信教育や家庭教師などを入れると90%くらいの生徒が学校以外で学習をしているようです。経済的に困窮をしている家庭では、なかなか教育費用の捻出が難しく、学業不振もしくは高校進学の断念や中退を余儀なくされるケースもあります。
埼玉県の2009年の調査によると生活保護受給世帯の子どもの高校進学率は86.9%(県全体で98.2%)、同2012年の調査では、生活保護受給世帯の高校1年生の中退率が8.1%(一般世帯で2.95%)だったようです。貧困状態にある子どものすべてが学業不振になるわけでも、非正規の仕事に就くわけでもありませんが、貧困世帯の子どもが貧困から抜け出せない「貧困の連鎖」に陥る可能性は決して低くはありません(約25%というデータもあります)。
また、別のデータによると低所得者家庭の小学生は、休日の朝食を抜きがちで、野菜はあまり食べず、インスタント食品をよく食べる傾向があるとしており、一般家庭の1.6倍に上るそうです。貧困家庭では主食に偏りがちで、栄養バランスが崩れている可能性がある。」と調査を行った新潟県立大の村山教授は語っています。
貧困の連鎖を断ち切るためのひとつには、やはり母親の就業環境を改善しすることが重要だといわれます。
埼玉県では「アスポート(生活保護受給者チャレンジ支援事業)」という「教育・就労・住宅」の3つの分野で生活保護受給者の自立支援事業を行っています。
□教育支援:教育OBなどの支援員と大学生ボランティアが学習指導を行います。
□就労支援:働くことができる若者に、職業訓練から再就職までの一貫支援を
      行います。さらに高等技能訓練促進費を支給し、それにより資格を
      取得し、就職に結びつけています。
      当社のシングルマザーシェアハウスも資格取得を推奨しています。
□住宅支援:生活保護を受給者していて住居がない人に、民間アパート等への転
      居から安定した生活の確保まで一貫して支援しています。
当社のシェアハウスも住宅支援を担っていくために、各地方自治体へアプローチしています。

※貧困率(相対的貧困率)とは、低所得者の割合を示す指標で、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす人の割合のこと。2012年の場合は所得が122万円未満の人の割合。子どもの貧困率とは、18歳未満の子どもを対象にしたもの。